「周りの農家もドローンを使い始めたが、うちはまだ早いのではないか?」「導入しても、コスト回収ができるのか不安だ」このような疑問をお持ちの生産者に向けて、農業用ドローンの普及率と、自社の営農規模に合った機体の選び方を解説します。
農業用ドローンは、かつての新しい技術から、現場の標準的な選択肢へと定着しつつあります。その普及スピードをデータで見てみましょう。
農林水産省の「令和6年度 農業分野におけるドローンの活用状況」によると、農業用ドローンの普及は2016年頃から急速に進んでいます。
2016年度にはわずか684haだったドローンによる農薬散布面積は、2020年度時点で約11万9,500haへと拡大しました。2023年には100万haを突破(※)し、急速に拡大しています。
ドローン散布に対応した登録農薬数は、2023年時点で1,309品目に達しています。殺虫剤・殺菌剤だけでなく、除草剤や液肥など、現場で必要な薬剤のほとんどがドローン散布に対応可能です。
この背景には、機体性能の向上に加え、2019年の航空法関連規制の緩和や、スマート農業実証プロジェクトによる後押しがあります。現在は一部の先進的な農家だけでなく、家族経営の個人農家や中山間地域でも導入が進んでいます。
現在、国内で稼働している農業用ドローンの多くは水稲(お米)の防除作業で活用されています。ヘリコプター防除では対応しきれなかった小規模な圃場や、変形田、電線が多いエリアでも、小回りの利くドローンであれば作業者の安全を確保しつつ低空散布が可能なためです。
また、最近では以下の用途での活用も急増しています。
普及が進む理由は、時間短縮と身体的負担の軽減にあります。
従来の動力噴霧器(動噴)やホースによる手散布と比較すると、作業時間が短縮されます。
準備や片付けの時間を含めても、午前中だけで数日分の作業を終えることが可能です。空いた時間を他の農作業や経営管理、あるいは休息に充てることができます。
真夏の炎天下、重いホースやタンクを背負って水田を歩く必要がなくなります。操縦者は畦畔から操作するだけなので、体力に自信がない方や高齢の方でも、一人で防除作業を完結できます。
普及しているとはいえ、ドローンは高額な投資です。「元が取れるのか?」という不安に対し、判断の目安となる数字をご紹介します。
導入には、機体本体やバッテリー、講習費用などを含め、一般的に200万円〜400万円程度(機体サイズによる)の初期費用がかかります。また、毎年の保険料や整備費、バッテリーの買い替えといった維持費も必要です。
コスト回収の目安として、よく挙げられるのが「年間延べ散布面積 30ha」というラインです。
防除を外部委託(10aあたり2,000〜3,000円程度)している場合、年間の延べ面積が30haを超える規模であれば、委託費を払い続けるよりも、自社導入して自分で撒いた方が数年でトータルコストが安くなる傾向にあります。
もちろん、金銭的なメリットだけでなく、「自分の好きなタイミングで適期防除ができる」「身体が楽になる」というプライスレスな価値も考慮が必要です。
農業用ドローンは、決して安い買い物ではありませんが、労働時間の短縮や身体的負担の軽減といったリターンの大きなメリットが期待できる投資です。
まずは、ご自身の圃場面積と年間の防除回数を整理し、お近くの販売店で実機を見学したり、デモフライトを体験してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
農業用ドローンのメーカー選びの手助けをする当サイトでは、他にも農業用ドローンを導入するなら知っておきたい基礎知識をまとめています。ぜひ参考にしてください。
農業用ドローンは、利用目的に合わせて適切な製品を導入することが重要です。
ここでは、稲作向け・果樹園向け・露地野菜向けといった、目的別に3種類の農業用ドローンを紹介します。


