農業用ドローンの自動飛行とは
農薬散布するドローンの自動飛行とは
農業用ドローンの登場により、農作業の中でも特に重労働であった農薬散布の概念を変えました。ドローン登場以前の農薬散布は、人間がタンクを担いで農薬をまく地上散布と無人ヘリによる空中散布が主流でした。地上散布は時間と労力がかかり、空中散布は労力が抑えられますがコストがかかるという問題がありました。
しかし、農業用ドローンを使用すれば1ヘクタールあたり10分ほどで農薬散布が行うことができ、コスト面の大幅な削減も実現。2016年から徐々に導入が進み、2019年7月にはさまざまな規制の見直しによって、農業用ドローンが普及していきました。
近年では、自動航行システムによる農薬散布を実現可能にしたドローンが登場。あらかじめ決められた範囲を設定された飛行ルートに従って、自動航行しながら農薬散布できるようになりました。自動航行のため、パイロットの操縦技術に関係なく農薬を散布することが可能です。作業のムラもなく、作業時間の短縮や業務効率化を実現します。
自動飛行によるドローンの必要な資格や手続きは?
自動飛行で農業散布を行うことができる農業用ドローンを運用するにあたり、特別な免許や資格は必要ありません。しかし、ドローンで農薬散布をするためには許可申請が必要であるため注意が必要です。
農薬散布は、航空法で規制される危険物輸送と物の投下に該当します。そのため、国土交通省から飛行認証を受けないといけません。申請の条件は、一定時間の飛行実績や運転技能です。
自動航行とは言え、まったくの素人ではドローンを使用した農薬散布を行うことができないので注意しましょう。申請に必要な飛行実績や技能は、全国にあるドローンスクールにて身に付けることが可能です。また、農薬散布にドローンを運用する前にはガイドラインに目を通し、安全な操縦を心がけましょう。
自動飛行による農薬散布の課題
導入コストがかかる
農業用ドローンは、導入コストがかかります。相場は100~300万円(※)ほどと言われていますが、自動航行やGPS記載など性能やメーカーによって価格はさまざま。
安全性を考えると、長期的に考えて目的に合ったものを選ぶ必要があります。また運用を開始した後も、保険やメンテナンス費用がかかることを忘れないようにしましょう。
(※)参照元:ドローンスクールラボ株式会社(https://drone-school-lab.co.jp/agricultural-drones)
位置測定方法による誤差が生じる
単独測位のGPSを使用する自動飛行のドローンだと、位置情報に2~10メートルほどの誤差が生じるというリスクがあります。この弱点により、ほかの作物や近隣の畑に散布してしまう可能性が。
特に果樹園などの傾斜角度の強い圃場では位置情報のズレで狙った場所への散布ができないほか、飛行の安全上における大きなリスクとなりかねません。
自動飛行機能付きの機体
自動飛行機能付き農業用ドローンについて、各メーカーごとでまとめました。
DJI製品
DJI Agras T100
大規模農場向けの最上位モデルで、最大100リットルの薬剤散布と150リットルの肥料撒布が可能です。LiDARとミリ波レーダー、ペンタビジョンを組み合わせた安全システムにより、極めて高度な障害物回避と自律飛行を実現しています。
DJI Agras T70P
中規模農地に最適な万能機で、最大70リットルの薬剤散布に対応し、安全システム3.0により経路選択や障害物回避精度が大幅に向上しています。
DJI Agras T25P
個人農家向けのコンパクトモデルで、折りたたみ式の軽量ボディながら山岳地帯での地形追従飛行や連続撒布を自動で実行でき、1人での運搬・運用が可能です。
DJI AGRAS T30
30リットルタンクを搭載し1時間で16haの散布が可能で、球形の全方向性障害物回避レーダーとRTK/GNSSによる遠隔操作により、水平・垂直ともに±10cmの高精度なホバリングを実現します。
DJI AGRAS T50
さらに高い安定性を実現し、噴霧時の最大離陸重量92kg、散布時103kgに対応、D-RTK有効時で±10cmの精密なホバリング精度を持ちます。
イームズロボティクス製品
エアロスプレイヤーAS10
1ヘクタールを10分で自動散布でき、AB2点間自動飛行モード、完全自動散布飛行モード、中断後の再開位置を記録するレジューム機能、Googleマップのズレを補正するルートキャリブレーション機能を搭載しています。
エアロスプレイヤーAS5Ⅱ
中型の6枚羽タイプで50アールを5分で自動散布でき、高さ制限の自動化と自動離発着機能により離着陸事故を軽減します。
TEAD製品
AC101
国産マルチローターとして軽量・コンパクト・低燃費をコンセプトに使いやすさを追求した機体で、自動飛行が可能です。
TA408-F
散布アシスタント農業用ドローンで、自動飛行モードと専用アプリによる各種サポート機能により、安定性と操作性に優れています。
マゼックス製品
飛助DX
低燃費で長時間飛行が可能で、1つのバッテリーで2haの散布ができ、コストを一般的な機体の半分に抑えられます。直進アシストと自動飛行の2つのモードを備え、操作技術がなくても的確な散布が可能です。
飛助DXプロ
液剤・粒剤装置付きのプロ仕様で、日本の圃場での使いやすさを考慮した設計となっています。
飛助mini アドバンスG
5リットル容量で最大62.5aまでの圃場を一度で散布でき、自動飛行モード・直進アシスト・連動散布モードにより初心者でも操作しやすい設計です。
XAG JAPAN製品
XAG P40
核心的なダブルローター構造でRTKセンチメートルレベルの精度を誇り、高性能な完全自動走行と完全自動散布機能、農業用AIと多方向レーダーによる障害物センサーを搭載し、複雑な操作なしで安定した飛行を実現します。
ナイルワークス製品
Nile-JZシリーズ
国産の自動飛行ドローンで、高精度な測位技術により離陸・散布・着陸まで全て自動で行い、特別な経験や技術は不要です。ネットワークRTKに対応しcm単位の高精度測位が可能で、バッテリー・タンク残量検知、障害物回避、異常時の退避まで全自動で正確に自動飛行します。







